2021年10月2日土曜日

靴の染め直し、あれこれ。

 こんにちは!

靴とバッグの修理、合鍵の店doekです!

西武新宿線、井荻駅で降りていただき、南口を出て右側に見えるお店です!
みずほ銀行さまのATM、センチュリー21さま、当店doek、東京三菱UFJ銀行さまのATMという並びになっております。

水曜定休、10時から20時までの営業となっております。
お気軽にご来店ください。


遠方にお住まいの方は、配送でのお修理も承っております。
メールでのお見積りも承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
配送については、こちら→http://doekrepair.wixsite.com/doek/untitled-civc
〒167-0023 東京都杉並区上井草1-24-16伊田ビル一階
mail  doekrepair@gmail.com
tel     03-5310-3512
靴とバッグの修理店doek

新たにline公式アカウントを開設しました。
靴修理や合鍵作成の可否等、お写真を使ってお問い合わせいただけるとスムーズです!!


さて、いよいよ緊急事態宣言も解除され、10月スタートからやってきた台風も通り過ぎ、夏か!??と思うような晴天がやってまいりました!
先月は当店のレジ周りや、LINE、店内の模様替え等バタバタと動いておりました。

一部、お修理品をお預かりした際の、お預かり票の表記の変更や、アプリを使った修理完了のご案内等、これまでと変えている部分がございます。
わかりにくい等ございましたら、お気軽にご質問ください。
よろしくお願いいたします。


さてさて、そんなわけで今日も元気にお修理のご紹介。
今日は、染め直し、塗り直しのビフォーアフターお届けします。
こちら!!
ブーツになりますね。
こちら素材が合成皮革になります。
こちらが…
こんな感じで、つま先部分に黒い汚れと、親指の付け根あたりが摩耗して、表面の塗装がなくなり、中の生地が見えて来てしまっております。
合成皮革の場合、靴クリームで色を入れることも出来るには出来るのですが、基本的には靴クリームが浸透しません。
擦れて表面の無くなってしまっている部分にはクリームの色が染み込むかと思います。
ですが、それだと色合いも薄く、なかなかきれいになりきらないので、こういった時は主に顔料なんて言われる皮革用の塗料を使っていきます。
で、塗るとこんな感じ。
完全に表面が無くなって中の布地が見えていた部分の凹凸は残りますが、色が合うだけでもだいぶ違和感は少ないかと思います。
ちなみに黒い汚れはシンナーで落としました。
シンナー等溶剤は、汚れをよく落としますが、合成皮革や本革の表面を傷めるので慎重に使わないと危険です。
ジャブジャブ使うと勿論、私の体にも危険ですね(笑)。


というわけで、合成皮革の靴に関しては、いわゆる靴磨きでは対応できない場合が多いため、顔料による塗装となります。
今回こちらは2200円で承りました。
部分的な塗装と、全体の磨き(靴クリーム)といった感じです。


続いて…
ドスン!
靴底周りが黄色いのは、黄色のマスキングテープを巻いております。
こちらスエードの、短靴。
ALDENだったと思います。
こちらを・・・
どどん!
と、こんな感じで茶色く致しました。
こちらは、いわゆる染料。
表面を塗る顔料ではなく、繊維に染み込ませる感じの染料を使っております。
ベージュ系の色だとスーツに合わせづらく、出番が少ないとの事で濃い茶色に染め直しました。

スエードも概ね問題なく染めることが出来るのですが、顔料に比べ、色の指定が難しいです。
まず、基本、白の染料はありません。
ということはパステルカラーなんて言われる、原色に白が混ざった色、ピンクやラベンダーのような色を、染料で作ることは、現状私の技術では出来ません。
基本は、黒やこげ茶、頑張って濃紺、ダークグリーンといったところでしょうか。
それでも元のスエードの色に染めた色が引っ張られるため、きれいな原色も難しい点をご了解ください。
例えば、茶色の靴を真っ赤に染めたいといわれると、厳しいです。
完全に脱色して白に近い状態に出来れば、赤い染料で染められるのですが、やはり完全に脱色は現状難しく、茶色に赤が混ざるため、いわゆる赤茶色に仕上がってしまいます。
ご了解ください。

話は戻り、上の写真の靴、6600円で承っております。
靴、全体染め、単色6600円で承っております。

もう一点、染料の注意点としては、縫い目から靴のライニングにシミが出来ることがあります。
最悪、顔料で隠す等の作業をいたしますが、こちらもご了解ください。

つぎにこちら!!
同色濃いめに・・・

こちらは、いわゆるスムース革。
普通の革ですね、表面のツルっとした革になります。
こういった革に関しては、染料を使う場合と、顔料を使う場合に分かれます。

まず上の写真の紳士靴は、染料で染めております。
元々全体が色褪せてしまったとの事で、全体を極端でない程度に染めて色を戻すことが目的です。
通常、靴クリームで対応なのですが、つま先やカカトなど、靴クリームでは色の補正がしきれない部分があり、今回は染料を使いました。
染料のいいところは、革らしい風合いをしっかり残すことが出来ます。
顔料でびっちり塗ると、どうしてもノッペリとした印象になってしまい、いわゆる革のエイジングの邪魔をしてしまうことになりがちです。

こちらは同色染め。
こちらは3300円~6600円いただくメニューとなります。
状態によって変わるのと、今回のように、ほんのり染める程度でしたら、上記の範囲でお安くなります。
私の匙加減で価格が変わってしまいますが、ご理解いただければと思います。


で、最後にこちら。
ツルっとした、スムース側のパンプス、ベージュだったものを半分黒く塗装しました。

ここまでバッチリ色を変える場合は、やはり染料よりも顔料のほうがきれいに仕上がります。
そもそもベージュの革自体が顔料が強く、染料がどの程度染み込むかも微妙だったため、顔料が適していると判断しました。

で、顔料のデメリットの一つがこちら。

ちょっと小さくてわかりづらいのですが、赤く丸を付けた個所。
黒く塗った顔料が剥がれて、中のベージュが見えてきております。
もちろん、極力剥がれることがないように作業するのですが、顔料を使う以上どうしても起こる不具合になります。
ちなみにこちらは、サンプル靴になるため、ヤスリでガっと削った感じになります。

ヤスリで、ガっとやると剥がれるということは、駅の階段を上っていて、コンクリの壁にザリッとぶつけたら剥がれる可能性があるということですね。
ただ、そこまでやったら元々黒く染めてある靴でも、傷が入って中の地の色が見えるとは思うので、どこまでを良しとするかという部分はあるのですが、顔料を使う以上可能性はある部分なので、こちらもご了解ください。
こちら、顔料を使う場合は、単色6600円となります。


というわけで、染料と顔料による染め直しの、ご紹介でした。
あとは、そもそも染料では染められない革があったり、顔料が剥がれやすい革もございます。
そのあたりは、実際に靴を拝見させていただき、判断いたしますので、お気軽にご相談ください。

また、染め直しは基本、けっこう無理のある作業と認識しております。
元には戻せないことも踏まえ、ご相談いただければと思います。
それでも履かずに捨てるよりは、絶対良いですからね!
お気軽にご相談ください。

それでは皆様のご来店、心よりお待ち申し上げております!!