2014年2月15日土曜日

婦人靴オールソール。加水分解。

皆さんこんにちは。
2週続けての大雪。
なかなかですね。
前回の雪は、東京の雪にしては、なんていうかパウダースノー的な、風に舞うような乾いた?雪でしたが、今回はガッツリですね。
自宅から店まで、たいした距離はないのにブーツが完全に水没しました。

オリンピックはと言うと、羽生選手が日本初の金メダルを取ってくれましたね!!
羽生選手、まだ19歳なんですね、4年に一度のタイミングで、世界一になる。
やっぱり『持っている』んですよねきっと。
実力があっても、そのタイミングでベストの力を発揮できない選手だって、たくさんいるはず。
本当すばらしいですね!!


さて、朝一でテレビを見て感動して。
その後、出勤&雪かきで心身ともに疲れ(笑)。
今に至ります。

で、本日はと言うとこちら!
婦人靴ショートブーツです。
上側の茶色い革は全くなんともないのですが、
靴底が割れてしまい、その付近も崩れ始めています。
これが、いわゆる加水分解です。
実はスニーカーや、こういったゴムのような底の靴に起きる経年劣化です。

正確に言うとゴムならばこの手の劣化は起きません。
ポリウレタンが空気中の水分と反応して起こるらしいです。
H2O(水)がHとOHに分かれて・・・ごめんなさい。
詳しくはわかりません(笑)。

とりあえず、ポリウレタン系の素材、また、素材自体は無事でも接着剤がそういった状況になることもあります。
あとは、バッグの裏地なんかでも起こります。
残念ながら避けては通れないものらしいです。

水と反応すると言っても、濡れた靴を放っておいたからとか、そういうレベルではなく、まったく未使用で箱にしまったまま置いておいても、空気中のいわゆる湿気で起こったりします。
正直手に負えません。

で、今回どうするかと言うと。

いったんすべて底を外してしまいます。
といっても、手で引っ張るだけで簡単に取れました。
恐るべし、加水分解。

そして外した靴本体部分はこんな感じです。
この黄色っぽく見える、生産時の接着剤や、取りきれていない底の破片を削り落とします。
するとこんな形です。
革の表面も接着剤が着きやすいように軽く削ります。
これが外したかかとですが、ちょっと写真ではわかりづらいですが、一番後ろの部分がクイッと持ち上がっています。
この部分をどうするか悩み今回は・・・
こんな感じでその部分に薄いゴムを貼り付けました。
そして余っている部分をカットしてから、靴の回りに1周ゴムのウエルトと呼ばれる部品を巻きつけます。

これが着くとグッと落ち着きます。
わからないですかね(笑)。
ちなみに下の写真のファスナーのすぐ下にちょっと出ているのが先ほどつけた薄いゴムですね。
その下にウエルトがついています。

そして、後はカカトの部分に、スポンジの板を積んで元に近い高さまで組み立てていきます。
このとき左右の高さ形が変わらないように気をつけます。

そして、こんな形でこの後もう一枚上に重ねることを想像しながら形を整えていきます。

最後の一枚を貼るとこんな感じ。

この後さらに形を整えていきます。


元のものと形ができるだけ近いように、もちろん高さが近い感じになるように。
なおかつ、左右の形が対象になるように気をつけながら整えます。
いかがでしょう?
若干離れてみると、形、ツヤ感とも、違和感が少ないのではないかと思います。

近くで見るとこんな感じ。
最初につけた薄いゴムの部分が、若干取って着けた感があるかも知れません。
このあたりは、とりあえず私の技術の限界かと思います。
もちろん最善を尽くします!!

今回はスポンジ素材を使っているので重さも、かなり抑えられているかと思います。
履き心地もほぼ、変わらないはずです。

こちらのお修理8640円となっております。
通常2~3週間程度いただけるとありがたいです。

ちょっとお高めの修理にはなりますが、ブーツを新たに購入することを考えるとお安いかと思います。
また、こういった、良いレザーの靴に関しては特に、底部分がダメになっても上の革の部分は、まだまだ使える場合が多いです。
もうダメかなと思っても是非、ご相談ください!!
綺麗に直しますよ!

皆様のご来店おまちしております!!