2014年4月1日火曜日

ルイ・ヴィトンのバッグ、裏地交換 LOUIS VUITTON

皆様こんにちは!!
いよいよ、四月、新年度が始まりましたね!!

新年度だからと言って特別なにかが変わるわけではありませんが、やっぱり気分も新たに頑張ろうと思えるから不思議です。
気分も新たにですが、今朝の新聞はというと・・・。
わかっていたことですが、やってきましたね。
昨日は井荻の駅でも定期を購入する方が列を成していました。
きちんと社会保障の為に使っていただいて、納得できる形になることを願うばかりです。

当店も、熟慮いたしましたが消費税8%預からせていただきます。
その分ではないですが、当店の会員になると、ゴムヒール交換、滑り止めに関しましては、定価よりいつでも10%オフとさせていただいております!
もちろん、会員費等一切いただいておりません。
また、会員になっていただく際、ご住所、お電話番号とあわせて、お誕生日をうかがうようにしております。
お誕生日の月には割引券もお送りいたしますので、ぜひ会員登録お願いいたします。


さて。
と言うわけで今日のお修理はこちら!!
写真が横を向きましたが、ルイ・ヴィトンのモノグラムです。
こちらがどうなってしまったかと言うと。
こんな感じで裏地がボロボロベタベタしてきてしまっています。
モノグラム自体も塩化ビニールですが、裏地も同じような素材のようです。
何度と無くご紹介していますが、加水分解の類かと思われます。

で今回は、またベタベタしないようにという事で、ナイロンや綿の素材もおすすめしたのですが、元と雰囲気が違ってしまうという事で。。。
革にします!!
で、さらに難儀なことに。
このバッグ、裏地が表のモノグラムと一緒に全て縫いこんであります。
『全て』縫いこんであります。
重要なので、2度言いました(笑)。

という事で作業スタートです。
こんな感じで、糸切りバサミで糸を切りながら、『全て』分解していきます。
この段階、まだかなり不安です(笑)。
なんせ、LOUIS VUITTONですから!!

このくらいまで行くと、ちょっと逆に楽しくなってきます。
すごいぞ、すごい事をしているぞ、私!!と言う感じです(笑)。
で。
魚ではないですが、見事に3枚に分解できました(笑)。
なかなか、見かけない光景です。
思わず、このまま型紙を取ってしまおうかと思いましたが、あえて型紙を取るほど難しい形でもないのでやめました(笑)。

なかなか見る機会のないモノグラムの裏側です。
やはり芯材は概ね紙のような素材なので、しわくちゃになっています。
茶色いところはキャンパス地でした。

モノグラムはキャンパス地に塩化ビニールで加工したものです。
元のキャンパスがしっかりしている上に、モノグラムの塩ビはおそらく、普通の塩ビよりもやっぱり、技術が高いのか値段が高いのかわかりませんが、しっかりしております。
この話をすると、革でない事にがっかりする方もいらっしゃいますが、モノグラム今までの経験ですと、革よりも丈夫です。
『LV』のロゴが消えたのも見たことありません。
もちろん雨もはじきますし、トランクケースは船が沈んでも浮き輪の替わりになります(笑)。
ほんとらしいですよ、ルイヴィトンが有名になったきっかけだと、何かで読んだことがあります。

さて、余談が長くなりましたが、まだ続きます。
だからと言って、革のほうが塩ビよりも劣っていると言う話でもありませんよ!!革には塩ビには無い復元性があります。
それはまた、別の機会にしておきます(笑)。

さて。
という事で、裏地の革を用意します。
こちら。浅草で購入してきた、国産の豚革です。
ちなみに、豚の革はほとんど、国産だそうです。

いつも写真を撮っている机が完全に見えなくなる程度には大きな革ですね。
で、豚さん一頭分の革なので、せっかくなので少し革の話を。


これ、同じ豚革の写真です。
上のほうが、きめが細かくフラットなのがわかるでしょうか。
下の写真は若干ぶくぶくとして、皺っぽく見えます。
これ、上の写真が、豚さんの背中の部分になります、下の写真は、おなかよりですね。
ちなみに下の写真の下のほうに写っているポツポツは、おそらくおっぱいです。

基本的に、豚や牛の皮はおなかの部分を開いて作られます。
食肉にする際、おなかの中を出すからだと思われます。
例外があるとすると、ワニやヘビと言ったエキゾチックレザーは、腹開きの場合と、背開きの場合があります。
おなかの『符』(ふ)の美しさを前面に出してバッグを作る際は、当然おなかで開くのではなく、背中側で開くことになります。

で、人間でもそうですが、息をするたび食事をするたびに動く、おなか側はやはり、皮も柔らかくなります。
それに比べ、背中側はおなかほど動きも多くなく、フラットな伸びが少ない革になります。
ちなみに、牛の場合、肩から首にかけては上下運動が多い為、革に深いしわが入ります。
その部分はショルダー革などと呼ばれ、それはそれで味のある革に仕上がります。
バッグを作る際などはそういった特徴を考慮したうえで、バッグのパーツを革のどの部分で裁断するかを決めていきます。
わかりやすいところでは、ショルダー紐など長い紐は、背中部分を首からお尻の方に向かって裁断します。
そうすると、縦に伸びにくい紐を作ることができます。
逆に持ち手のハンドルなどは、バッグに付ける段階でカーブさせて取り付けます。
そういう時は、背中からおなかに向かって裁断してあげると、自然なカーブが出たりします。
当たり前のように使っているバッグでも、色々な職人さんが、経験を活かして作ってくださっていると思うと、物の見方がまた変わってきたりしますね!!

さて、どうしても革の話だと、長く横道にそれますが、本題に戻ります。




バッグにあわせて、豚の革を裁断し、モノグラムの端に挟みこむ部分を写真のように包丁で薄く漉いていきます。
そして、周りを全部挟み込み皺がよらないように固定した状態が・・・
こういった形。
ロゴももちろん元の場所につけておきます。
後はずれないように固定して、ミシンで一目一目慎重に縫っていきます。
で、出来上がりがこちら!!
ほとんどわかりませんね(笑)。
中はと言うと。
こんな感じ。
これ、写真がいまいちなんですが、実物肌触りも、もちろん見た目も高級感すごいです。
なんていうか、肌触りがふかふかです。
やっぱり、そういう意味では革は良いです。

ちなみに、ミシン目ですが、表の胴判側はほぼ100%もとの縫い目で縫えています。
ですが、残念ながら、マチ側で一箇所
写真のほぼ中央部分、ミシン目がずれているのが、お分かりになるでしょうか?
元のミシン目より若干内側を縫ってしまっています。
下糸側はどうしても見ながらは縫えないので、ずれる場合がございます。
ご依頼いただいたお客様にもお話はしてあるのですが、もちろんずれないよう全力を尽くしますが、これに関しては、現在の私の技術の限界かと思われます。
ご了承下さい。
もちろん、こういったことが、無くなるよう日々努力しております。

と言うわけで、ルイ・ヴィトンの裏地の交換でした。
なかなか、ここまでバッグ全体を分解することも無いので、緊張感のあるお修理でした。

こちらのお修理、ファスナーやポケットが全く無いという事もあり、16200円となっております。
お安くは全く無いですが、正直お高くは無いのではないかと思います。

裏地を全体革で作り直す場合は、お時間2週間~3週間いただいております。
本当にタイミングよく、裏地に使える革が手元にある場合は1週間~2週間でお受けできます。

靴やバッグ、直せる場合がほとんどです。
ぜひ、ご相談ください!!