2014年6月9日月曜日

靴磨きについて考える。

皆様こんにちは。
西武新宿線、井荻駅の靴とバッグの修理店doekです!!

今日は、以前同僚だった同業友人と靴磨きについて色々と話しておりました。
そんな、話の一部をご紹介しつつ、今日ご紹介するのはこちら!

しゅっとした、格好良い紳士靴です。
茶色の内羽ストレートチップですね。
スーツなどには非常合わせやすい靴かと思います。

ですがつま先が・・・
結構いってしまいました。
どうしても、こういうトゥの長い靴はつま先を擦ってしまいがちです。
だからといって、他の部分がダメになっているわけでもないので、これを綺麗にしていきます。

まずは。
いきなり紙ヤスリです。
お客様にはあまりお見せしたくない気がしますが、隠しても仕方が無いのでご紹介してしまいます。
預けた靴が、紙ヤスリで削られていると思うと、ショックですよね(笑)。
ですが、考えてもみてください、こちらの靴のようにつま先が擦れてしまっている状態は、紙ヤスリどころかアスファルトや、コンクリートに擦ってしまっているわけで、そちらの方がはるかに危険です。
ちなみに、紙ヤスリは800番くらいの細かいものです。

で、こんな感じに、ふわっと表面の色が薄くなる程度にはヤスリをかけても全く問題ありません。
もちろん、ヤスリを使わないに越したことはないのですが・・・。
何とか、凹凸を少なくしていきます。

そして、このあと全体の埃とヤスリのカス?をはらってからステインリムーバーで全体を拭いて、汚れを落とします。
ステインリムーバーをヤスリの前にやってもいいのですが、乾いてからじゃないとヤスリがかけずらいので、リムーバーを後にします。

そして、今回はモウブレイのシュークリームジャー、ダスキーブラウンを全体にムラなく刷り込んでいきます。
ペネトレイトブラシが良いと、いつもご紹介して、当店でも販売しておりますが、こんなブラシでも全く問題ありません。
使い古しの歯ブラシでも良いです。
Tシャツで塗っても、まあ良いと言えば、良いのですが写真のような隙間に塗るのは難しくなります。
それと、布を使うと必要以上にクリームが取れてしまい、ちょっともったいないです。



で、今日の友人との会話で、結局のところ靴クリームは何が良いのか!??と言う問題にぶち当たりました。
ブランドでいうと、コロンブスやモウブレイ、サフィールなんかが有名です。

何が違うかと言うと『水』『油』『蝋』の割合が主な違いになってきます。
もちろん、その中にも有機溶剤は使っていない、とかビーズワックスやカルバナワックス、シダーオイル、中にビタミンE配合で皮革の老化を防ぎます!なんていうのもあります。

で、色々話したのですが、『何でも良いんじゃない』という乱暴な結果に(笑)。
こだわれば話は付きません、使用感や仕上がりのツヤ感に若干の違いがあることも認めます。
そのこだわり自体が面白いのも重々承知しております。
なんせ、靴大好きですから!!!
でもなんです。
残念ながら、私おそらく違うクリームで磨いて、どっちがどっちですか!?と質問されても、全く分からないと思います。
違うクリームで磨いたことにすら気づかない恐れがあります(苦笑。

残念ですが、TVチャンピオンの温泉マニアの方々のように、その香りだけでどこの温泉か見極めるような、利き靴クリームは出来ないと思います。

有機溶剤が入っていることが、靴や革にとって本当に良くないことなのかさえ、今ひとつ確信が持てません。
もちろん、天然由来の成分の方が良いのでしょうが、革をなめしている段階でクロムなめしだったら、全くもって天然由来ではないわけで・・・。

と言うわけで、瓶に入った、クリーム状のものなら恐らく、何でもいいです。
液体はやめましょう、あと、塗るだけで光る敵なものも良くないです。
それは分かります(笑)。



で、話は戻って(笑)。
クリームを塗り終えると、こんな感じです。
この段階で、つま先の傷はほとんど分からないかと思います。

ですが、ちょっとマット過ぎますね。
で、触った感じもペトッとした感じです。
これは、クリームが多く乗りすぎてしまっているからです。

ですので、次は・・・

大き目のブラシで全体をブラッシングして、余分なクリームを取りつつ全体に馴染ませます。
大き目の方が作業がしやすいです。
小さいのない?と言うお客様も実は良くいらっしゃるのですが、大きいほうが作業が楽ですし仕上がりもいいです。
この時の毛は、化繊か豚毛が良いです。
要するに、そこそこ硬い毛のブラシが良いです。
馬毛だと柔らか過ぎ、クリームを取る力が弱く時間がかかります。
タワシだと傷が付きます。

で、最後にポリッシンググローブで全体を乾拭き。
代用するならば、フリースやネル生地、ストッキングなどの、目の細かい生地がいいです。
表面に残った蝋分を出来るだけ平らにすることで、ツヤが出ます。
荒いタオルで最後に乾拭きするよりも、目の細かいフリースで乾拭きしたほうがフラットになるような気がしませんか?実際その通りです(笑)。

で、仕上がるとこんな感じ。
正直なところ最初の状態に比べると、これで十分綺麗になっている気がしませんか!?

ですが、まあ、ここまではこの手順を踏むと、正直誰でも出来ます。
まあ、それが出来なかったり、面倒なのでお任せいただけるとは思うのですが(笑)。

ここで終わると普通に綺麗になっただけの印象なので・・・
最後にこんなタイプの缶に入った固形のワックスタイプを使います。
蓋には若干の水が用意してありますね。
時折、お客様からクリームが乾いてヒビ入ってダメになっちゃったよ、なんて声をお聞きします。
このタイプは写真のようにヒビが入っても特別問題ないので、気にせず使って下さいね。
全く問題ありません。

で、少量のこのワックスを塗り塗り塗り塗りして、一滴の水をたらして、くるくるくるくる磨くこと・・・20分程度でしょうか・・・
こんな感じの透明感のあるツヤが出ます!
いかがでしょう!?
お、傷が分からなくなった上に、ピカッと光ったね!と言う感じになりませんか??
男前が光っちゃいましたよ!!

こちらの靴磨き1080円となっております。
1時間程度いただけるとありがたいです。

簡単に1080円と言っておりますが、1080円あったら、けっこう美味しいランチが食べれたりしますよね。
靴磨きでも、なんとかそのくらいの感動を与えなくてはと日々精進しております。

靴クリームも、何でも良いなんて言いましたが、皆様納得のいくものをご使用くださいね!!
当店では、使い勝手お値段もバランスの良いモウブレイのクリームをお勧めしております!


有機溶剤が入っていても問題ないのでは?なんて言いましたが、考えてみたら私、アレッポ石鹸で体中洗っておりました。
完全天然素材のみで作られた石鹸です(笑)。
頭から顔から、髪の毛まで、私アレッポ石鹸ひとつで洗っております。
一度だけ歯も磨いてみましたが、さすがに違う気がして止めました(笑)。
一応、説明書きには歯も磨けると書いてあるんですよ!念のため(笑)。
アレッポ石鹸を使うときは、猛烈に目に染みるのでお気をつけくださいね!!

それでは、皆様のご来店心よりお待ち申し上げております!!